DATA COLUMN — 03
FLYING START STUDY フライングが最も多い競艇場はどこか
買った瞬間に全額返還、選手には重い罰則——競艇で最も避けたい事故「フライング」。直近3年に起きた3,874本のFすべてを会場別・風速別に並べると、俗説とは違う景色が見えました。
検証ルール
- 対象: 2023年8月5日〜2026年8月4日の全24場・BOAT RACE公式の競走成績
- F率 = フライング本数 ÷ 出走数 × 1000(本/1000走)。欠場艇は出走数から除外
- 出遅れ(L)はフライングと別の事故のため集計対象外(同期間で約90本と僅少)
- 数値は集計期間の実績であり、将来の傾向を保証するものではありません
Fは58レースに1回起きている
直近3年の164,843レースのうち、フライングが発生したのは2,828レース——全体の1.72%、およそ58レースに1回の頻度です。
Fが出ると、その艇に関わる舟券はすべて返還。人気艇のFなら売上の大半が戻る「なかったことになるレース」が生まれます。選手側にはフライング休みなどの重い罰則があり、F持ち選手は次走以降スタートを控えめにする——舟券的には「F持ちの1号艇」の信頼を1段割り引く根拠になる数字です。
全国計: 986,959出走でF3,874本 / 1000走あたり3.93本
| 順位 | 会場 | F率(本/1000走) | F本数 |
|---|---|---|---|
| 1 | 江戸川 | 5.4 | 201 |
| 2 | 平和島 | 4.94 | 190 |
| 3 | 丸亀 | 4.73 | 206 |
| 4 | 蒲郡 | 4.72 | 203 |
| 5 | 大村 | 4.61 | 204 |
| 6 | 浜名湖 | 4.55 | 197 |
| 7 | 津 | 4.48 | 173 |
| 8 | 住之江 | 4.29 | 178 |
| 9 | 唐津 | 4.29 | 177 |
| 10 | 児島 | 4.02 | 163 |
| 11 | 戸田 | 3.95 | 165 |
| 12 | 三国 | 3.92 | 161 |
| 13 | 宮島 | 3.8 | 164 |
| 14 | 芦屋 | 3.8 | 159 |
| 15 | 常滑 | 3.69 | 163 |
| 16 | 下関 | 3.62 | 146 |
| 17 | 若松 | 3.61 | 147 |
| 18 | 多摩川 | 3.58 | 147 |
| 19 | 桐生 | 3.53 | 145 |
| 20 | 鳴門 | 3.45 | 133 |
| 21 | 福岡 | 3.0 | 124 |
| 22 | びわこ | 2.89 | 116 |
| 23 | 尼崎 | 2.86 | 114 |
| 24 | 徳山 | 2.43 | 98 |
上位3場(F多め)を橙、下位3場(F少なめ)を緑で表示。
「常滑はFが多い」は本当か
競艇ファンの間で語られる俗説の代表格。しかし実測では、常滑は24場中15位(3.69本/1000走)——全国平均を下回る「Fが少なめの場」でした。
実際の1位は江戸川(5.40本/1000走)。潮と川の流れで水面が動き、スタートの基準が取りづらいことが背景にあると考えられます。2位平和島・3位丸亀と続き、最少は徳山(2.43本)——江戸川と徳山では2.2倍の開きがあります。
ただし「難水面ほどFが多い」と単純化はできません。うねりで知られるびわこは22位、イン受難の鳴門は20位と、荒れる水面でもFが少ない場はあります。俗説は俗説として、場ごとに実測を見るのが確実です。
風とFの意外な関係——単純な比例ではない
「風が強いほどFが増える」と思いきや、実測はU字型でした。
| 風速帯 | F率(本/1000走) | 対象出走 |
|---|---|---|
| 無風〜1m | 3.96 | 246,999 |
| 風速2〜3m | 3.93 | 444,353 |
| 風速4〜5m | 3.58 | 217,596 |
| 風速6m以上 | 4.76 | 78,011 |
無風〜1mの3.96本に対し、風速4〜5mではむしろ3.58本まで減り、6m以上で4.76本へ跳ね上がります。ある程度の風なら選手はスタートを「構えて」合わせられるが、6mを超えると艇のコントロールが限界を迎える——という解釈が自然です(あくまで実測に基づく仮説です)。
舟券的には第1回・第2回のコラムと同じ結論に合流します。風速6m超は、イン信頼も、きれいな決着も、スタートの秩序も崩れるゾーン——手を出すなら「荒れる前提」の組み立てが必要です。
まとめ
- Fは58レースに1回(1.72%)。起きればその艇の舟券は全額返還になる。
- 「常滑はF多発」は俗説。実測は24場中15位で、1位は江戸川(5.40本/1000走)。
- 最少は徳山の2.43本。最多の江戸川とは2.2倍差。ただし「難水面=F多い」とも単純に言えない。
- 風とFはU字関係。4〜5mで最少、6m超で急増——強風日はスタート事故のリスクも織り込む。
舟券の購入は20歳以上・余裕資金の範囲で。データは判断材料としてご活用ください。
スタートの荒れやすさも、水面のクセのうち。
会場ごとのコース別1着率・決まり手・風速別データを全24場ぶん公開しています。コラムのバックナンバーもどうぞ。